法律と会社の空気、どっちを読めば良い?

たいして詳しくないけれども、自分が勉強した範囲でタイトルについて書きます。

労働基準法では、年次有給休暇(以下、有給休暇)は申告時に取得したと見なされる。
会社は原則として、有給休暇を断る事は出来ず、例外として''やむを得ない状況''のみ、その申請を却下出来る。

したがって、やむを得ない状況(判例では、大多数が同日に有給取得を申請した場合が認められている)以外は、有給を取得出来る。
これが、労働基準法年次有給休暇に関する概要だ。

だが、会社は残業時間を減らしたいがため、有給を認めようとせず、有給の代わりに、ただ会社に来ず、残業時間を8時間減らすという方法で休みの取り方をさせたがる会社が世の中にはあるらしい。
具体的には、有給を申請すると、「今月は残業が多くなりそうだから有給で休みをとられては困る。有給を使わずに、会社に来ないだけで良い。残業時間を削るだけで欠勤にはならない。」と言われるそうだ。
この事象について思う事があるので、以下に書く。

なぜ残業が多くなると困るのか。

なぜ、有給を取得させずに、ただ休ませ8時間の残業時間を減らそうとするのだろうか。
これは、36協定という会社と労働組合で結んだ時間外労働(いわゆる、残業)についての協定があるからだ。そもそも、残業は通常させてはいけない。この、「36協定」を結ぶ事で初めて、会社は、従業員に残業をさせる事ができるのだ。そして、この協定は労働基準監督署に提出し、認められる必要がある。これは、会社が従業員を酷使させないためだ。
話を戻そう。
残業が多くなると困るのは、36協定を守れないからだ。
これが守れなくなると、労働基準監督署からお叱りがあるらしい。これは、会社にとって決して良い事ではないのは明白だ。だから、会社としては残業をさせたくない、残業を減らしてほしい。

本題

有給取得は、労働者に認められた権利である。労働基準法には、残業が多い場合はとれないという条文は1つも見当たらない。
36協定は、労働者を守るための協定ではあるが、守れないと会社に責任が来る。
労働者は先に述べたように、有給をやめてくれと頼まれたときに、ジレンマに陥る。

有給取得に関しては、

  1. 休んでも働いた扱いになり、給料がもらえる。
  2. 労働者の権利

ただで休むと、

  1. 残業時間が8時間程度へり、残業代がその分減額される
  2. その結果、36協定以内の残業時間に収まれば、会社にとってはよし。

このような状況になる。
個人単位で考えた場合は、当然ながら有給取得をしたいと考えるであろう。
会社に所属する一個人と考えた場合は、36協定におさめるように考えるかもしれない。

だが、36協定の本質は、「労働者を守るため」である。
会社を守るために、自らを削って36協定の範囲内に時間外労働の時間を押さえるのは、本末転倒である。

ここでさらに問題をややこしくする事がある。
それは、有給の取得申請を上司にする場合だ(これが殆どであろう)。
以上に述べてきた事象にのっとると、申請をした時点で「残業が多いから、有給取得はやめてほしい」と言われる。ここは、かなり黒に近いグレー、もしくは黒だと私は考えている。
ここで、この上司のお願いをどうするかだ。
「嫌です」と言えるか。自分を評価する上司だ。「会社のために、頼む」と言われるかもしれない。ここで、断ったら「会社のために献身的になれない」と判断される可能性もある。仕事を真面目にやり、労働者の権利を当然に行使しているのにも関わらずだ。これで評価されたら、たまったもんじゃないだろう。

どうすればいいのか。
法律通りならば、有給取得をする
会社の空気を読むならば、ただ休むだけだ。

果たして、こんな状況で良いのだろうか。
36協定を守りたいならば、それに相応した仕事量を渡せばいいだろう。今、それが出来ていないからこのような状況になるのだろう。
労働者がこのような選択をせまられるのが根本から間違っているのではないか。
そうはいっても、仕事は会社を経営していく時に必要であるので、とらなければ駄目だ。

こんな話を聞くと、経営は難しそう、と思う。